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石鹸が発見されたのは、5,000年も前のことだった

石鹸の歴史は古く紀元前3,000年までさかのぼります。古代ローマでは、サプルの丘の上で生け贄のヒツジを焼いて祝祭をあげる習慣があったそうです。

羊を焼いた時にしたたり落ちる脂と木灰が混ざり合い、反応して自然に石鹸ができ、土にしみこんでいったそうです。たまたま手についたサプルの丘の土を川で洗おうとしたら、泡が出てきて噓のように汚れが落ちたというエピソードがあり、サプルの丘の土は汚れを落とす不思議な土だと評判になったそうです。

このサプルの地名がソープ(Soap)の語源だといわれています。不思議な土の正体は、自然発生的に出来た石鹸分なのです。 まさに、自然の恵により発見された石鹸は、工業技術の発展により、現在は苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を作り出す製造法が開発され、油脂と苛性ソーダを反応させて石鹸を作れるようになりました。

日本に石鹸が伝わったのは織田信長の時代とされており、江戸時代の記録には「シャボン」という言葉が記されているそうです。シャボンというのはポルトガル語の「sabao」かスペインの「jabon」から来たものとされており、ヨーロッパから入ったものとされています。

洗浄剤には、石鹸と合成界面活性剤の
2種類に分類される

現在、多種多様の石鹸や液体洗剤、洗顔フォームが売られ、人の肌に使うもの、食器洗い用・掃除用と目的別にさまざまな洗浄剤を使うようになりました。洗浄剤を大きくわけると、古来からある石鹸、もう一つが合成界面活性剤です。

合成界面活性剤は、第一次世界大戦中、ドイツで最初の界面活性剤AS(アルキル硫酸ナトリウム)が開発されました。石鹸の材料は油脂で、食料にもなるものです。ただでさえ物資が不足している戦時中に食料を石鹸に使うのはもったいないと考え、代替えされたものが石油由来の界面活性剤です。石鹸は5,000年以上の歴史がありますが、合成界面活性剤は約100年の歴史しかありません。

合成界面活性剤は、汚れと一緒に肌を守る皮脂のバリアーまでおとしてしまい、肌の健康を損ねてしまいます。合成界面活性剤は水を含む力が強く、肌に残留しやすいので、洗顔後もつっぱらずにしっとりした感じがします。こうした毒性が皮膚常在菌の働きを阻害し、肌荒れや死亡事故に代表される人体影響、環境汚染が新たな社会問題に発展してきました。

石鹸はもともと偶発的に発見された自然界の産物を人間が再現しているに過ぎないもので、対して界面活性剤は最初から人工的に作りあげられたものという違いがあります。主な合成界面活性剤は石油をベースとし、多種類の合成助剤を加え高圧下で作られています。非自然的な圧力をかけて製造されており、自然界にないものが自然の力で自然界に還元されることが非常に困難なのは当たり前の話です。
つまり分解性が悪く、分解をするバクテリアなどの生物にとっても毒性が強いことが環境に悪いとされるところです。

合成界面活性剤でも安全性が高いものもある

アルキル、硫酸エステル、ポリオキシエチレンなどといった言葉がついているものは、みな石油からつくられた合成界面活性剤です。

こうしたものを使っていない、ナチュラルで安心な、肌の皮膚常在菌に影響を与えない洗浄剤が開発されています。それが近年一部シャンプーなどに採用されているアミノ酸系界面活性剤です。

アミノ酸は、日本ではうまみ調味料として知られてきたため、実感がわきにくい成分ですが、天然素材を原料とした発酵法を中心につくられています。糖蜜や等を発酵法を行なうタンクに入れ、自然界にいるアミノ酸生成能力をもつ微生物を加え、発酵させます。すると培養液中にアミノ酸が生成され、その中から目的に合わせたアミノ酸を取り出します。

アミノ酸の分子内にあるアミノ基に脂肪酸が結びつくと、界面活性の働きがあらわれるため、洗浄剤として使用することができます。

人の肌や髪はタンパク質からできています。そのタンパク質を構成する最小単位がアミノ酸のため、安全性が高い洗浄剤として使用されるようになってきました。